MENU
               

Diary 写メ日記の詳細

第一話:画面ブラックアウト
羽田千冬 2025.09.16
第一話:画面ブラックアウト

東京の大都心。


道行く人をビルから眺めながら、私は今日も仕事に明け暮れる。

仕事は好きだ。


でも、ふと気づけば、私の日常はモノトーンに塗りつぶされてしまっていた。

「はぁ…今日もまた残業か…私、こんなの望んでたんだっけ…」

「つまんなくなってきたな…」

カチカチとキーボードを叩く音だけが、静まり返ったオフィスに響く。


窓の外は、すでに漆黒の闇。

時刻は、もうすぐ20時。


終電を気にしながら作業を進めていると、見慣れないメールが届いた。

件名:『今夜、20時新宿で』

差出人不明。いかにも怪しい。絶対に詐欺だ。


そう思ってすぐに削除しようとしたその時、


指が滑って、うっかりメールを開いてしまった。

『プチュンっ…』

次の瞬間、音を立てて画面は真っ暗に。


そして、それに呼応するかのように、オフィスの照明もフッと消えた。

「えっ…何!?」

真っ暗な空間に、私だけが取り残される。


恐怖で動けずにいると、パソコンの画面がかすかに光り、再起動の音が聞こえた。

そして、闇の中に白い文字だけが浮かび上がる。

『イマ様、ようこそお越しくださいました。


ここは現実の世界ではありません。


ここはあなたが望むことが叶う仮想空間でございます』

私の指が震える。


誰かのイタズラ?


それとも、悪質なウイルス?

「…なに、これ」

不審に思いながらも、画面は続けて文字を表示する。


そこには、見慣れた新宿駅の待ち合わせ場所が示されていた。

『カブキチョウへムカイマスカ?』『YES』『NO』


『ご案内は、すでに始まっております。さあ、あなただけの物語を始めましょう。』

ビルから外を見落とすと、人込みだった交差点には人の気配さえなくなっていた。

「私…本当に…別世界に来てしまったの…?」

Commentコメント

匿名希望
お話始まりましたね!ゆっくり読んでます

LEAVE

18歳未満の方

当サイトにはアダルトコンテンツが含まれております。
18歳未満の方のご入場は固くお断りしていますので
LEAVEから退場して下さい。

Web予約はこちら