Diary 写メ日記の詳細

目を覚ますと、見慣れた光景が広がっていた。
歌舞伎町一番街の門の前。
またしても強制リセット。
落胆しながら顔を上げると、
そこに人影があった。
「イマ?」
懐かしい声が、私の名を呼ぶ。
「シブちゃん!」
私は思わず駆け寄り、シブに強く抱きついた。
「会いたかったよぉ…」
涙声でそう言うと、
シブは軽く私を抱きしめ、
いつものニヤリとした笑顔を向ける。
「どこまで行けた?」
「三宅優人まで…」
私がそう答えると、
シブはニヤリと笑い、
からかうように言った。
「あんた…
キスした経験ないでしょ?」
図星を突かれ、
私は照れながら答える。
「…恥ずかしながら。
ファーストキスを三宅優人に奪われたの」
その言葉に、シブは大爆笑した。
「あっはは!
実はうちもなのよ!!
見かけによらず清純派…的な?」
シブも同じ経験をしていたことに、
私は少し安心した。
「シブちゃんはどこまで行ったの?」
私がそう聞くと、
シブは真剣な顔で答える。
「禁域のラストまで行ったんだけど…
ボスまではたどり着けてない…」
(禁域って何…?)
私の頭は混乱する。
しかし、
シブが話し続けていたため、
私は黙って耳を傾けた。
「ってか、イマ。
チートコード知ってる?」
「チート…?コード…?」
私の頭は、ショート寸前だ。
そんな私を見て、シブは再びニヤリと笑った。
「前回デレた地点まで
一気にワープできる呪文があるんだよ。
叫ばないといけないけど…」
「教えて!」
私は、藁にもすがる思いでシブに頼み込んだ。
「しょうがないなぁ…
メモした方が良いよ」
シブは仁王立ちして、
そのチートコードを教えてくれた。
『上上下下右左右左ホホイノホイホイ』
「歌舞伎町タワーに入った瞬間に叫べば、
視界が真っ暗になって、
前回の場所まで飛べる」
「ホントかなぁ…」
半信半疑な私を見て、
シブは楽しそうに笑う。
「その顔、疑ってるね?
作者の意向でワープ機能が追加されたらしいよ」
(この世界は…作者が結構関与してくるな…)
私は、心の中でそう思いつつも、
シブに心からの感謝を伝えた。
「シブちゃん、ありがとう。
私、もう一回行ってくるね」
「いってらっしゃい、
次は現実世界でね」
「…うん!」
再び歌舞伎町タワーへと歩き出した。
今度こそ、絶対に負けない。