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Diary 写メ日記の詳細

第二十二話:White River 画伯
羽田千冬 2025.10.13
第二十二話:White River 画伯

月野結弦との攻略を終え、私は次の階層へ向かっていた。

これまでの階層とは全く違う雰囲気の扉に着く。


小綺麗で、どこか高級感のある真っ赤な扉。


私は恐る恐るその扉に手をかけ、ゆっくりと中に入った。

扉の向こうは、美術館のような空間。

そして部屋の真ん中には、


画家のような人物が一人、


イーゼルに向かって筆を走らせていた。

「あ、あの…」

おそらく次のメンズだろうと思い、私は声をかける。

彼は筆を止め、振り返ると満面の笑みで言った。

「Oh, Hello!


Wow!Japanese cutie girlデハナイデスカ!」

まさか返答が英語だとは思わず、私は一瞬戸惑った。


しかし、なぜか彼の英語は不思議と聞き取れる。

「あなたが次のメンズですか…?」

私がそう尋ねると、彼は困ったように首を傾げた。

「ワタシ、ニホンゴ、ワカリマセン。


Can you speak English?」

この世界は言語が通じないこともあるから大変だな…


なんて思っていた矢先、彼が再び話し始める。

「Sorry, kidding(ごめんね、冗談だよ)。


My name is "White River". ホワリバってヨンデネ?」

「お、おーけー。サンキュー」

私はカタコトの英語で返答した。


かなりユーモアのある人だな…


なんて思っていると、


彼の描いている絵に目が留まった。

「それ、何を書いてるんですか?」

「コレカイ?


コレハ、"チャラかぐや姫"ダヨ。


アカビキニとミラーボールがトクチョウダネ」

描いている物は本当に意味が分からなかった。


なぜチャラくする必要があるのだろうか。

「なぜ、チャラさが…」

心の声が、思わず口から漏れてしまう。


彼はそれを聞いて、得意げに胸を張る。

「チャラは二ホンのブンカダヨネ!


ワタシは二ホンのコトモットシリタイネ!」

とんだ解釈違いに、


私は苦笑いを浮かべるしかなかった。

「アハハ…えっと…」

次の瞬間、彼は真剣な顔つきで私に話しかけてきた。

「オジョウサン、


clothes(服)をヌイデクレナイカイ?」

「んん!?」

いきなりのセクハラ発言に、私は驚愕した。

「Japanese cutie gurlを、カイテミタインダヨ!」

創作意欲から来るセクハラ発言だと分かったが、


それでも嫌なものは嫌だ。


私は少し強めに言い返した。

「嫌です!」

その拒絶と同時に、


いつもの文字が目の前に浮かび上がる。

『コウリャクハジメマスカ』


『YES』『NO』

いつもなら、私が


多少躊躇しながらも『YES』を選択してきた。


しかし、今回は違った。

私が服を脱ぐのを拒んだせいか、


彼は少し気が立っているようだった。

「Oh! Shit!(ちくしょう!)」

そう言いながら、


彼はかぶっていたベレー帽を強く投げつける。

ベレー帽は回転しながら床に落ちていく。


ちょうどその落下地点に


『YES』の文字があることに気づいたが、


その時にはもう遅かった。

「あ、待って…!」

私の声が届く間もなく、


ベレー帽は『YES』の文字に触れた。

空間が歪み始める。


どうやら、切り替わりのトリガーは


ベレー帽だったようだ。

「強制本気モードだよ、よろしくね?」

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