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Diary 写メ日記の詳細

執事Style
羽田千冬 2025.09.21
執事Style

「ありがとうございます。


では、始めさせていただきますね」

彼の言葉と同時に、


私の目の前で世界がガラリと変わった。

広がるのは、満開のバラが咲き乱れる庭園。

「え…なにこれ…」

驚きで呆然とする私に、羽田千冬が優しく微笑む。


彼の服装も、いつの間にか黒のTシャツから、


完璧に着こなされたスーツへと変わっていた。

「お嬢様、


驚かせてしまい申し訳ありません。


ここからが、私の本領発揮でございます」

「私の能力は『執事Style』


誠心誠意、イマ様と向き合わせていただきます」

彼の声は先ほどまでとは別人のように、


落ち着いていて、耳に心地いい。

「これが…彼の『能力』…」

彼の紳士的なエスコートに導かれ、


私はバラ園の中心へと歩みを進める。

喉が渇いた…と思った瞬間、


どこからともなく用意された


ティーセットが目の前に現れた。

私は何も言っていないのに…。

「どうぞ、お口に合いましたら」

彼の淹れた紅茶を一口飲む。


それは驚くほど香り高く、


疲れていた心がじんわりと癒されていくのを感じた。

「あの体育会系な彼は…どこに行ったの…?」

頭ではそう思っていても、


彼の完璧なもてなしに、


私はどんどん心を解かれていく。

自分がまるで、


映画の主人公になったかのような錯覚を覚える。

「こんな経験…初めて…」

その瞬間、


頭の中に警告が鳴り響いた。

「デレたらリセット」

その言葉が私の理性を辛うじて繋ぎとめる。

羽田は私の葛藤などお見通し、


といった様子で、優しい声で語りかける。

「お仕事、大変でしたね。


頑張りすぎです。


たまには、私に全てを任せて、


身を委ねてはいかがですか?」

その言葉は、


誰にも言えなかった


私の孤独を言い当てているようで、


もう少しで涙がこぼれそうになる。

しかし、


私は強く目を閉じ、


これまでの不満やこの世界に来た理由を


思い出した。

「ダメだ…


ここで流されたら、


私の負けだ…!」

残り時間がわずかになった頃、


羽田千冬が私の手を取り、


そっと手の甲にキスをした。

「美しいバラのように、


あなたの心も咲き誇らせたい。


このまま、私の隣にいてはいただけませんか?」

バラの花びらが舞い散る中、


私はもう一歩でデレてしまいそうな衝動に駆られる。


しかし、強く拳を握りしめ、なんとか理性を保った。

その瞬間、


空間にチャイムの音が響き渡り、


120分が終了したことを告げる。

「お見事です、お嬢様。


私の誘惑に耐え抜かれるとは…」

彼は悔しそうな表情を見せた後、


すぐにいつものヘラヘラした笑顔に戻った。

疲労困憊の私に、彼はニヤリと笑いかける。

「…まぁ、今回は僕の勝ちってことで」

何を言ってるのかさっぱり分からない。


しかし、私は確かにこの試練を乗り越えたのだ。

「勝ったのは私よ…」

そう言って、私はタワーの次の階層へと向かうのであった。

「あぁ、危なかった…」

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