Diary 写メ日記の詳細

羽田千冬との熱い攻防を耐え抜き、
私は次の階層へと足を踏み入れた。
そこには、奇妙な空間が広がっていた。
なぜか巨大な壁が立ちはだかっている。
「室内なのに…なんの壁…?」
理解不能な状況に戸惑っていると、
その壁の向こうから、何かが覗き込んでいるのが見えた。
「きゃああぁああ!」
思わず悲鳴を上げて、私はその場にへたり込んだ。
「あぁ、ごめんね!びっくりさせちゃったね…」
壁の向こうから、心配そうな声が聞こえる。
壁の向こう側から現れたのは、
身長180cmを超えるメンズ。
「だ、大丈夫…。あなたがこの階層のメンズなの?」
私は差し出された大きな手を取り、
なんとか立ち上がった。
「そうだよ~、
この階層担当の成田千晴です。
さっきはごめんね、俺もちょっと、あの…えっと…」
彼は、どこか間の抜けた様子で言葉を濁した。
しかし、すぐに持ち前の厚かましさを発揮する。
「ま、いっか!
じゃあ、時間もったいないし…
特別な時間始めようか!」
彼は有無を言わさぬ勢いで、私をソファへと促す。
圧倒されるペースに、私は言いなりになるしかなかった。
そこからの特別な時間30分。
彼は最初、びっくりするほどの威圧感だったのに、
いざ話し始めると、物腰柔らかくふわふわした雰囲気をまとう。
まるで大きなぬいぐるみが喋っているような、そんな印象だった。
私は特別な時間の時点で、
早くもギャップにやられそうになっていた。
30分が経過すると、目の前にいつもの文字が浮かび上がる。
『コウリャクハジメマスカ?』
『YES』『NO』
少し悩んだ私だったが、
羽田との攻防を思い出し、いきなり強気になる。
「先は長い…こんなところでへばってられない!」
心の中でそう呟くと、
私は成田千晴をまっすぐ見据え、宣言した。
「一人残らず…駆逐してやる…!」
そして、勢いよく『YES』を選択した。
しかし、なぜか彼は、
私を放っておいて、立ち去ろうとする。
「今から能力使わなきゃだから、ちょっとパンツ履き替えてくる」
彼の言葉に、私は理解が追いつかない。
「…??」