Diary 写メ日記の詳細
ざわついていたタワーのエントランスで、
西島勝利がゆっくりと話し始めた。
「みんな、
この世界に戸惑っているのは理解できる。
だが、これは君たちにとって最高のチャンスだ」
「最高のチャンス?」
成田千晴が顔を上げる。
「そうだ。俺の使命は、
現実社会で満たされない女性たちの
性(生)のエネルギーを解放すること。
そして、それが君たちメンズの使命だ」
西島は周囲を見渡し、
メンバーそれぞれの顔を指し示しながら続ける。
「君たちが、この世界に飛び込んでくる女性を
デレさせることができれば、
その熱量はこの世界に還元される。
報酬として、君たちの現実世界での
名声と富を保証しよう」
彼の言葉に、
メンズたちの顔つきが変わった。
特に櫻井翠は、
自分の長大な魅力を
仮想世界で存分に発揮できる可能性に、
熱い視線を送る。
「だが、どうやってデレさせるんだ?
俺たち、ホストじゃないんだぜ?」
羽田が腕を組みながら戸惑いを口にした。
西島は微笑む。
「簡単だ。
君たちの最も得意なことで、
女性の心を動かしてほしい。
それが、この世界での君たちの『能力』となる」
「俺たちの個性ってことですか」
道枝が、冷静に分析する。
「その通りだ。
さあ、自己紹介がてら、
互いの得意分野を話してみるがいい」
羽田は、熱を込めて語り始めた。
「俺は、どんな仕事も
120%でこなす熱意がある!
女性の悩みも、ノリと根性で解決じゃい!」
成田も続く。
「俺は、とにかく
女性心理に関する知識を誰よりも
学ぶことができます。
真摯な姿勢で女性と向き合います!」
三宅が口元を隠しながら囁く。
「俺は、女性の本能的な
愛されたい欲求を刺激することにかけては
誰にも負けない自信があります」
月野は、シンプルに言い放つ。
「俺は、どんな女性でも、
まるで本物の兄のように優しく包み込み、
安心させることができます!」
「……じゃあ、僕から試させてください!」
性的な魅力に
絶対の自信を持つ櫻井翠が、
前のめりに出る。
「僕は、女性が求める
肉体的な魅力を最大限に引き出すことができる。
まず、これで彼女たちを圧倒すればいいんでしょ?」
西島は静かに首を横に振った。
「それが通用するなら、
俺がこんな世界を作ってはいないよ。
いいか、このタワーの攻略は『心理戦』だ。
…だが、やってみてくれ」
櫻井は、
その場に誰も女性がいないにも関わらず、
自分の最もセクシーなポーズを取ってみる。
…しかし、
周囲のメンズたちは
ただ白い目で見ているだけだ。
「……無理ゲーだろ、これ!
肉体じゃなくて、どうやって心でデレさせるんだよ!」
櫻井が苛立ちを露わにする。
その時、
道枝慎が落ち着いた声で口を開いた。
「心配ないよ、櫻井君。
君のその熱意こそが武器になるはずだから」
西島勝利は、
道枝の言葉に満足そうに頷いた。
「そうだ。その通りだ、道枝。
君たちには、デレさせるための『技術』が必要だ」
「近いうち、この世界に最初のゲストが来る。
君たちを試す、最高の挑戦者がね。
その時までに、自分の武器を磨いておいてくれ」
メンズたちは、
初めて訪れる女性ゲストの存在に、
期待と不安の入り混じった表情を浮かべた。
