Diary 写メ日記の詳細
『ザンキ : ゼロ』
まるで夢を見ているような気分である。
視界は真っ暗なのに、
明確に脳内に伝えられる情報は
何とも無慈悲なものだった。
私が今、起きているかもわからない…。
ただ、分かっているのは、
暗闇の中で身体の自由も効かないまま、
考えることだけは出来るということだけ。
「お疲れ様」
脳内で誰かが話しかけてくる。
目で見ることは出来ないが、
なぜか脳内にビジョンが映し出される。
(西島…勝利さん…?)
「そうだよ、お疲れ様。よく頑張ったね」
(そうか…私は最後、この人に敗北したんだ…)
「でも、楽しかったっしょ?」
脳内で会話が繰り広げられる。
確かに、楽しかった。
現実世界では絶対にこんなことできないし。
とてもいい経験になった。
もう戻りたくないと思った自分もいた。
色んな私を知ることが出来た…。
思い返せば、
私は楽しかったんだろうな…。
この時間が。
「余韻に浸ってますね~!」
今度は成田千晴が現れる。
ボスのパンツを履いて
本気モードに入ったくらいだから、
多分付きまわっているのだろう。
「イマちゃーん、負けちゃったか~!」
「コンテニューしなくていいんすか!?」
羽田千冬と三宅優人も参戦。
道枝慎の攻略依頼だ…この予感。
私の夢の中にも出てくるの…?
「イマちゃん、お疲れ様~」
「この世界は楽しんでもらえたかな…?」
紫水晶と櫻井翠である。
二人ともなんだか落ち着いている。
思えば、全員本気モードの時の雰囲気である。
だったら…
「エレガントに敗北したね~」
「敗北…?イマちゃんに失礼だな…完敗だよ。」
「あ、お疲れー」
やはり、
白川椿・月野結弦・道枝慎も来る。
禁域の三人。
そういえば、
ボスの攻略前に優しくしてくれたっけ。
私の夢の中に
この世界のメンズたちが集結するなんて、
思ってもみなかった。
『夢の中に出てくる人は特別な人』…。
そんな話を聞いたことがある。
(そっか…やっぱり私。
この世界に出てくるメンズ、
みんな特別だったんだ。)
さっきから思い返すことが多すぎて、大変だ。
そりゃ、29話もやっていれば
そうなってしまうのも仕方ない。
しかし、
過去は過去であり、
もう二度と戻ることはできない。
大事なのは今。
そして、未来をどう作っていくかである。
(私…どうなっちゃうのかな…?)
「先のコト、気にしてる?」
西島勝利は
私の思考を夢の中でも読んでくる。
ここまでくれば、
さすがに恐怖を覚えるが
この先どうなるか、私は気になっていた。
(はい…私は人間に戻れるのでしょうか?)
「その解答は、
この世界が出来た経緯から話していこう。
長い話になるけど、
質問にもちゃんと答えるから安心してね」
