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第二十九話:ザンキ:ゼロ
羽田千冬 2025.10.22
第二十九話:ザンキ:ゼロ

『ザンキ : ゼロ』

まるで夢を見ているような気分である。


視界は真っ暗なのに、


明確に脳内に伝えられる情報は


何とも無慈悲なものだった。

私が今、起きているかもわからない…。

ただ、分かっているのは、


暗闇の中で身体の自由も効かないまま、


考えることだけは出来るということだけ。

「お疲れ様」

脳内で誰かが話しかけてくる。


目で見ることは出来ないが、


なぜか脳内にビジョンが映し出される。

(西島…勝利さん…?)

「そうだよ、お疲れ様。よく頑張ったね」

(そうか…私は最後、この人に敗北したんだ…)

「でも、楽しかったっしょ?」

脳内で会話が繰り広げられる。

確かに、楽しかった。


現実世界では絶対にこんなことできないし。


とてもいい経験になった。


もう戻りたくないと思った自分もいた。


色んな私を知ることが出来た…。

思い返せば、


私は楽しかったんだろうな…。


この時間が。

「余韻に浸ってますね~!」

今度は成田千晴が現れる。


ボスのパンツを履いて


本気モードに入ったくらいだから、


多分付きまわっているのだろう。

「イマちゃーん、負けちゃったか~!」

「コンテニューしなくていいんすか!?」

羽田千冬と三宅優人も参戦。


道枝慎の攻略依頼だ…この予感。


私の夢の中にも出てくるの…?

「イマちゃん、お疲れ様~」

「この世界は楽しんでもらえたかな…?」

紫水晶と櫻井翠である。


二人ともなんだか落ち着いている。


思えば、全員本気モードの時の雰囲気である。

だったら…

「エレガントに敗北したね~」

「敗北…?イマちゃんに失礼だな…完敗だよ。」

「あ、お疲れー」

やはり、


白川椿・月野結弦・道枝慎も来る。


禁域の三人。

そういえば、


ボスの攻略前に優しくしてくれたっけ。

私の夢の中に


この世界のメンズたちが集結するなんて、


思ってもみなかった。

『夢の中に出てくる人は特別な人』…。


そんな話を聞いたことがある。

(そっか…やっぱり私。


この世界に出てくるメンズ、


みんな特別だったんだ。)

さっきから思い返すことが多すぎて、大変だ。


そりゃ、29話もやっていれば


そうなってしまうのも仕方ない。

しかし、


過去は過去であり、


もう二度と戻ることはできない。

大事なのは今。


そして、未来をどう作っていくかである。

(私…どうなっちゃうのかな…?)

「先のコト、気にしてる?」

西島勝利は


私の思考を夢の中でも読んでくる。

ここまでくれば、


さすがに恐怖を覚えるが


この先どうなるか、私は気になっていた。

(はい…私は人間に戻れるのでしょうか?)

「その解答は、


この世界が出来た経緯から話していこう。


長い話になるけど、


質問にもちゃんと答えるから安心してね」

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