Diary 写メ日記の詳細

「今から能力使わなきゃだから、

ちょっとパンツ履き替えてくる」

成田千晴はそう言い残し、

部屋を出て行った。

数分後、戻ってきた彼の姿に、私は再び驚く。

何せ、見た目は一ミリも変わっていないのだから。

「どこが変わったの…？」

「表面上じゃ分からないけど、

ボスのパンツ履いてるんだよ！

これを履いたら、本気モード発動だよ！」

彼が指パッチンをすると空間が一変。

謎の部屋は、古い図書館のような空間に変わった。

「僕の能力は『真摯な学び』

どんなことも、努力すれば必ず身につくんだよ」

彼は、女性心理本や少女漫画を読みふけっていた。

彼の言葉の端々から、並々ならぬ努力が垣間見える。

私は、その真剣な姿に少しずつ心を惹かれ始めた。

時間が過ぎていく。

彼は私の何気ない一言をメモし、

私への接し方を分析しているようだった。

彼の真摯なアプローチに、私の心は温かくなっていく。

残り時間がわずかになった頃、彼は真剣な表情で言った。

「イマちゃん、僕はもっと努力する。

もっとイマちゃんのことを知って、

僕が出来ることの範囲を増やしていきたいんだ」

そう言って差し出されたノートには、

私の発言や仕草がびっしりメモされていた。

「ありがとう…」

私がノートを受け取った瞬間、

時計塔の鐘が鳴る。

どうやら120分が終了したようだ。

「もっと努力しないとな…」

悔しそうな成田だったが、

すぐに私に笑顔を向ける。

「でも、イマちゃん！

今日は本当にありがとう！

俺、また一つ成長できたよ！」

その言葉と彼の姿に、

私は完全にノックアウトされそうになっていた。

「頑張る男性って

本当にかっこいいのよね…」

そう呟き、

ノートを胸に抱きしめて次の階層へ進む。

危なかった。

もう少しでデレてしまうところだった。