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第十一話:ロングフリーズ
羽田千冬 2026.07.28
第十一話:ロングフリーズ

成田千晴の部屋。

成田と向き合い、


これからどう攻略してやろうかと身構えていた


まさにその時だった。

『ジジジ…』

「え…?」

突如、目の前にいたはずの成田千晴の姿が、


テレビのノイズのように不鮮明になり、


スーッと透明になって消えていく。

それと同時に、


周囲の空間全体が凍りつくように停止し、


私の視界も一瞬で真っ暗になった。

……

「ん…んん…」

冷たいアスファルトの感触。


重い瞼を開けると、そこは見慣れた光景だった。

煌びやかなネオンを放つ、


歌舞伎町タワーの入り口。


その目の前で、私は派手に倒れていた。

「あれ…私…一体何を…?」

頭を押さえながら、


ゆっくりと身体を起こす。

「さっきまで、


成田さんの部屋にいた記憶はあるんだけど…」

まさかまたデレてしまってリセットされた?


でも、今回はデレた記憶なんて一切ない。

困惑する私の頭の中に、無機質な声が響く。

『オメザメデスカ。』

「ちょっと!何が起きたの?


私、何か違反でもした!?」

私が詰め寄るように尋ねると、


AIは淡々と告げた。

『アナタノ違反デハアリマセン。


コノショウセツノサクシャガ、


ナガイコトコウシンヲトメテイタタメ、


イママデノセンレキハスベテリセットサレマシタ。』

「は…?小説…?作者?何の話…?」

唐突すぎるメタ発言に、


私の思考が一時停止する。

「えっ、じゃあ何?


またゼロからやり直しってこと!?」

『ハイ、ソウナリマス。』

「そんな…!」

せっかく羽田を攻略して、


成田のところまで行ったのに。


地面を叩いて悔しがる私に対し、


AIは機械的なトーンのまま言葉を続けた。

『シカシナガラ。


アナタノハイボクリレキモリセットサレマス。


アナタハコノサキノジョウホウヲモッタママ、


リスタートデキマス。』

「敗北履歴もリセット……?」

「ってことは…


私が最初に油断して無駄にした失敗も消えて、


攻略情報だけ持ったままリスタートってこと?」

『ハイ。イワゆる、


ツヨクテニューゲームデゴザイマス。』

「そこもリセットされるんだね」

私の口から、思わず笑みが漏れる。

確かに、


最初はわけも分からずパニックになり、


羽田の抱擁にやられてしまっていた。


でも今の私には、


羽田の「執事Style」の攻略法も、


その先で得た知識もある。

「作者ってやつの更新ストップのおかげで、


逆に私が圧倒的有利になったってわけじゃん。ウケるw」

私はパンパンと服の埃を払い、


勢いよく立ち上がる。

「よーし!全リセット上等!


今度こそ、ノーミスで最上階まで行ったる!」

シブは不敵な笑みを浮かべ、


再び歌舞伎町タワーの自動ドアへと


足を踏み出すのであった。

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