Diary 写メ日記の詳細

シブと別れ、
私は歌舞伎町タワーへと向かう。
覚悟を決めて、いざ三度目の入室。
そして、
シブから教えてもらったチートコードを試す。
『上上下下右左右左ホホイノホイホイ!』
恥ずかしさを捨て、大声で叫ぶ。
すると、
一気に視界が真っ暗になり、
身体が宙に浮くような浮遊感に襲われる。
次に目を覚ますと、
私は三宅優人にお姫様抱っこされていた。
サングラスは外した状態なので、
本気モードに入ったところから
やり直しだろう。
(あの呪文…本物だったんだ…)
そんな呑気なことを考えていると、
優人が優しく話しかけてきた。
「イマちゃん…大丈夫?
気分悪い?」
「大丈夫、ありがとう。
とりあえず降ろして大丈夫だよ」
私がそう言うが、
彼は「このままが良いな」なんて言って、
全く降ろそうとしない。
本当に困った人だ。
そして、再び問答無用のキス。
抱えられたままなので、
抵抗する暇も与えてもらえなかった。
だが、
すでにファーストキスは
奪われているのだ。
ここで動じてはいけない。
そう気を引き締める私だったが、
優人のキスはどんどん色気を増していく一方だった。
開始60分はフレンチキスの嵐。
残り60分…予想はしていたが、
濃厚すぎるキスに変わる。
(ヤバい…
なんかムラムラしてきた…
デレてしまいそうだ…)
「エッチな気分ってこんな感じなんだ…」
なんて考えながら、
だんだん頭が空っぽになっていく。
しかし、
ここで負けるわけにもいかない。
私は、正気を失っては取り戻すという作業を
ひたすら繰り返していた。
「キス魔なんかに…負けない!」
私は、心の中でそう叫び続けた。
濃厚すぎるキスの末、120分が経過した。
メンズは基本的に
会話と行動でデレさせに来るのに、
やはり三宅優人は特殊だ。
彼は120分間ずっと
キスをしていた。
しかし、これが単純で、
一番怖いことだと分かった。
「イマちゃん、なかなかやりますね」
時間終了を告げる
チャイムが鳴り響くと、
優人は悔しそうにそう言った。
「ちょっとヤバかったよ…
ファーストキスの責任取ってよね」
私がからかい交じりに言い、
次の階層へ進もうとするが、
優人が「ちょっと待って!」と私を止める。
不思議に思い振り返ると、
彼は真剣な顔で私に忠告をしてきた。
「ここから先、
禁域と呼ばれるゾーンに入る。
くれぐれも気を付けてね」
そういえば、シブも言っていた
『禁域』と言うワード。
私はずっと気になっていた。
「禁域ってどんな場所なの?」