Diary 写メ日記の詳細

「…ワンッ」
アメジがウィッグを脱ぎ、
本名である紫水晶へと姿を変えた。
「ワンワンッ!
今からイマちゃん専用のわんこで~す!」
「可愛い…さっきとは違う可愛さが…」
実は私。極限の犬好き。
犬系男子はなでなでしたくなってしまう…。
「俺の能力はいちゃ甘のわんこ!
さぁ、撫でるがよい!
撫でると強制リセットなんだけどね!」
あんなにペースをかき乱してきたギャルが、
一転、従順な子犬になったのだ。
ギャップなんてものでは無い。
何だこの、生物学を凌駕してくる感じ…?
メンズが変幻自在なのは知ってたけど、
今までとはわけが違う。
「イマちゃん、もっと撫でて~」
彼は、私の足元にすり寄ってくる。
その姿は、尻尾をブンブンさせているように見え、
撫でてやりたくてたまらない…。
「…我慢よ…私…!」
「我慢なんてしなくていいんだよ?
好きなんでしょ??」
私は、戸惑いを隠せない。
これまでは、ペースを
”掴まれなければ” 耐えることが出来た。
しかし、彼は違う。
私のペースになればなるほど、
彼はより甘々になり、
より従順に、可愛くなってしまう。
「困ったな…」
きっと、
紫水晶が櫻井翠の次のメンズなのは罠だ。
櫻井翠でペースを奪うことを学習させられたのに、
紫水晶はペースを奪うと強化される…
「…一筋縄ではいかないってことね。」
しかし、急にひらめきが頭に浮かぶ。
そうだ…もう完全に
お任せしちゃえばいいんだ…!
「イマちゃん、遊ぼうよぉ」
彼は、上目遣いで私を見つめている。
「分かった。
あなたがしたいことを全部しよう」
私がそう言うと、
彼は嬉しそうに私の手を取り、
私をソファーへと誘った。
「じゃあ、ぎゅーしよ!」
私は、彼のペースに身を任せる。
素直に喜んでずっとくっついているところ
まるで本物の子犬のようだった。
「ふんふふん~♪」
鼻歌を歌っている。
そのくせ、私からは絶対に離れない。
危険すぎる…やはり、どうにか…
「ねぇ…ちょっと火照ってきたかも…」
私が離れようとした瞬間に
120分が経過し、チャイムが鳴り響く。
「え~?もう終わり?
もっと甘えさせてよぉ~」
彼は、名残惜しそうに私の腕に頬ずりした。
よく我慢した私。
120分耐えたんだから撫でてもいいよね?
「ごめんね…私、行かなきゃだから…」
私はそう言うと、
初めて彼の頭を優しく撫で、
次の階層へと向かうのであった。