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Diary 写メ日記の詳細

第十四話:いちゃ甘のわんこ
羽田千冬 2025.10.02
第十四話:いちゃ甘のわんこ

「…ワンッ」

アメジがウィッグを脱ぎ、


本名である紫水晶へと姿を変えた。

「ワンワンッ!


今からイマちゃん専用のわんこで~す!」

「可愛い…さっきとは違う可愛さが…」


実は私。極限の犬好き。


犬系男子はなでなでしたくなってしまう…。

「俺の能力はいちゃ甘のわんこ!


さぁ、撫でるがよい!


撫でると強制リセットなんだけどね!」

あんなにペースをかき乱してきたギャルが、


一転、従順な子犬になったのだ。


ギャップなんてものでは無い。

何だこの、生物学を凌駕してくる感じ…?


メンズが変幻自在なのは知ってたけど、


今までとはわけが違う。

「イマちゃん、もっと撫でて~」

彼は、私の足元にすり寄ってくる。


その姿は、尻尾をブンブンさせているように見え、


撫でてやりたくてたまらない…。

「…我慢よ…私…!」

「我慢なんてしなくていいんだよ?


好きなんでしょ??」

私は、戸惑いを隠せない。


これまでは、ペースを


”掴まれなければ” 耐えることが出来た。

しかし、彼は違う。


私のペースになればなるほど、


彼はより甘々になり、


より従順に、可愛くなってしまう。

「困ったな…」

きっと、


紫水晶が櫻井翠の次のメンズなのは罠だ。


櫻井翠でペースを奪うことを学習させられたのに、


紫水晶はペースを奪うと強化される…

「…一筋縄ではいかないってことね。」

しかし、急にひらめきが頭に浮かぶ。

そうだ…もう完全に


お任せしちゃえばいいんだ…!

「イマちゃん、遊ぼうよぉ」

彼は、上目遣いで私を見つめている。

「分かった。


あなたがしたいことを全部しよう」

私がそう言うと、


彼は嬉しそうに私の手を取り、


私をソファーへと誘った。

「じゃあ、ぎゅーしよ!」

私は、彼のペースに身を任せる。


素直に喜んでずっとくっついているところ


まるで本物の子犬のようだった。

「ふんふふん~♪」

鼻歌を歌っている。


そのくせ、私からは絶対に離れない。


危険すぎる…やはり、どうにか…

「ねぇ…ちょっと火照ってきたかも…」

私が離れようとした瞬間に


120分が経過し、チャイムが鳴り響く。

「え~?もう終わり?


もっと甘えさせてよぉ~」

彼は、名残惜しそうに私の腕に頬ずりした。

よく我慢した私。


120分耐えたんだから撫でてもいいよね?

「ごめんね…私、行かなきゃだから…」

私はそう言うと、


初めて彼の頭を優しく撫で、


次の階層へと向かうのであった。

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