Diary 写メ日記の詳細

歌舞伎町タワーの自動ドアが、静かに開いた。
足を踏み入れた瞬間、
まるで別世界に迷い込んだような感覚。
「…どこに行けばいいの?」
不安を抱きながら、
エスカレーターに乗ろうとしたその時だった。
「やっぴー!可愛子ちゃん!」
突然、背後から陽気な声が聞こえ、思わず肩が跳ね上がる。
「えっ!誰っ!?」
振り返ると、
身長177cmくらいの
ヘラヘラ笑顔を浮かべたメンズが
仁王立ちで立っている。
私はびっくりして、思わず後ずさった。
「俺は羽田千冬!
この階層を担当してるんだー!
任された仕事は120%でこなします!
燃えるぜ!!」
その声は、通路に響き渡るほど大きく、体育会系ノリ。
あまりの勢いに圧倒され、ただ立ち尽くすことしかできない。
「じゃあ、
特別な時間(カウンセリングタイム)を始めようか!」
彼は有無を言わさぬ勢いで私の腕を掴み、
近くのドアを開けた。
その奥には、
ソファとテーブルが置かれた
シンプルな部屋が広がっていた。
「一方的だし…圧が強くて怖いんだけど…」
恐怖心に怯えながらも私はソファに座る。
彼は馴れ馴れしく隣に座り、ニヤリと笑った。
そこから、特別な時間の30分が始まった。
彼は、出だしから体育会系ノリで
マシンガントークを繰り広げる。
自分の仕事への情熱や、
「人を120%楽しませる!」という意気込みを熱く語る。
私は彼の話に適当に相槌を打ちながら、心の中で確信していた。
「全然、このメンズには魅力を感じない。緊張して損したわ」
これなら、簡単にクリアできる。
そう思った矢先、私はホッと一息つく。
そんなことも知らない彼は
いきなりこんなことを言い出した。
「緊張、ほぐれたみたいだね〜!
特別な時間は成功だよ♡」
何を言っているのかさっぱり分からない。
彼の言葉の意図が掴めないまま、
目の前に文字が現れた。
『コウリャクハジメマスカ?』
『YES』『NO』
いけると確信していた。
私は迷わず『YES』を選択する。
その瞬間、彼の雰囲気がガラッと変化する。
「ありがとうございます。
では、始めさせていただきますね」